発注点とは何か? 在庫管理の基礎と発注で大切な5つのポイント

在庫管理は利益につながる重要な業務であり、やり方によっては増益にも減益にもつながります。今回は、発注点から在庫管理、発注における5つのポイントまで詳しくご紹介していきます。 

目次

発注点とは?

発注点とは、「発注をかけるのに“適した”タイミング」のことを指します。
適切な発注点を設定し管理することで、効率的に在庫管理を行うことが可能となります。発注点の管理法は「基準となる数量以下になったとき」、「基準の日時」に分けられます。

①基準となる数量以下になったとき
→基準を10とした場合、在庫が10個を下回ったら発注をかける

②基準の日時
→発注日を20日とした場合、毎月20日のタイミングで発注を行う

この2つの方法についてはそれぞれ以下で解説していきます。

定量発注方式と定期発注方式の違い

定量発注方式

定量発注方式とは、「発注点とは?」での①の方法を指します。在庫数が一定数を下回ったタイミングで発注をかけることで在庫を管理します。

  • メリット
    一定量以下になると発注をかけるため、在庫が不足しにくい
  • デメリット
    発注や支払時期が不定期のため業務の効率化が難しい、基準量をもとに発注を行うため需給変化への対応が難しい

定量発注方式に向いているもの
安価な商品、需給変動の少ない商品、長期保管ができる商品

定期発注方式

定期発注方式とは、「発注点とは?」での②の方法を指します。発注タイミングを固定化し、発注量を変えることで在庫を管理することができます。

  • メリット
    発注タイミングが固定のため業務の効率化が可能、在庫数を考慮しながら柔軟な発注が可能
  • デメリット
    過去実績から発注量を決める必要があり負担になる、また予測を誤ると余剰在庫を抱えてしまう

定期発注方式に向いているもの
高価な商品、需給変動の多い商品、消費期限・賞味期限のある商品

発注点・発注量の決め方

発注点の決め方

定量発注方式では、発注点を「1日の平均出荷量×調達期間(リードタイム)+安全在庫」で算出します。

1日の平均出荷量

1日当たりの商品の販売数量や材料の使用量を指します。
「平均」とありますが、これから需要増が見込まれる場合は最大値を選んだり、出荷量に大きく差がある場合は中央値を選んだりすることもあります。商品や材料消費速度に注意して当てはめる数値を選んでいくことが大切です。

調達期間(リードタイム)

商品(材料)を発注してから手元に届くまでの期間のことを指します。
この期間を考慮し忘れてしまうと、商品(材料)が届くまでの間に在庫が尽きてしまう可能性があるので注意が必要です。

安全在庫

欠品に備え、ストックしておく在庫のことを指します。
安全在庫があることにより機会ロスを防ぐことができます。

実際に以下の例を式に当てはめると、

平均出荷数

1日の平均出荷数:30個

調達期間

調達期間:5日

安全在庫

安全在庫:15個

「1日の平均出荷量×調達期間+安全在庫」=「30個×5日+15個=165個」となり、在庫数が165個以下のタイミングで発注をかける必要があることが分かります。

発注量の決め方

定期発注方式では、過去実績データをもとに発注量を決定していきます。
発注のタイミングが決まっているため、そこまでに欠品させない十分な在庫量が必要となります。

こちらでは、発注点の「在庫の個数→次回発注までの日数」に置き換えて算出します。
実際に以下の例を当てはめてみると、

1日の平均出荷数:10個
次回発注までの日数:30日
安全在庫:5個

「1日の平均出荷量×次回発注までの日数+安全在庫」=「10個×30日+4個=304個」となり、304個を発注する必要があることが分かります。

発注間隔があいている場合は、一日の平均出荷量や安全在庫の数を増やすことで、機会ロスの減少へつなげることもできます。

発注点管理の方法

発注点点管理の方法は主に以下の3点があります。

  • 発注カード(手書き)
    品名、発注先、価格などが記載されているカードに担当者が手書きで記入し、発注を行う手法です。もっとも単純でコストがかかりにくいというメリットはありますが、ヒューマンエラーが起きやすいというデメリットもあります。

  • Excel
    Excelを用いて管理する方法です。関数やマクロを利用することで、追加コストをかけずに自動化や効率化を実現することができます。しかし、最初に作成したデータに誤りがあった際は関連データすべてに影響を及ぼし正確性を欠いてしまったり手入力によるヒューマンエラーが生じてしまうこともあります。

  • 販売管理システム
    システムを導入し、管理を行う方法です。上記二つよりもコストはかかってしまいますが、システムによる自動化ができるため、ヒューマンエラーを防ぎ、正確な情報管理が可能になります。
    また、社内の他のシステムと連携できるものや、需給予測を行うことのできるものもあるため、業務の効率化を劇的に推進することが可能です。

発注で大切な5つのポイント

①業務のルール化

発注業務では正確な在庫数の把握が求められます。個々人の判断で業務が行われ、在庫管理に個人差が出ないようにするためにも、共通ルールを決めておくことが必要です。
ルール化するにはいろいろな方法がありますが、フォーマットが共通している販売管理システムの導入が、正確な在庫管理の近道になります。

発注の優先度を決める

すべての商品が一律の個数ずつ出荷されていくわけではないので、商品の売れ行きを考慮し、ランク付けを行うことも大切です。
このランク付けを行うためには、複数データを重要度に基づいて分類する、「ABC分析」が役に立ってきます。

ABC分析は、

A(重要度:大)→全体の売り上げの70%を占める商品
B(重要度:中)→全体の売り上げの20~30%を占める商品
C(重要度:低)→全体の売り上げの10未満を占める商品

の3類型に分類され、Aから優先して発注を行っていくことで、発注順序を検討する手間を軽減することができます。

リードタイムの短縮

リードタイムを短縮することで、抱えておくべき在庫数を減らすことができます。
在庫保管が長期化してしまうと、モデルチェンジによる売上の低下や、劣化により商品を廃棄しなければならない可能性も出てきます。
そのため、在庫の保管期間を短期化し、廃棄発生のリスクを下げることも重要になります。

④需要予測

需要は常に一定ではありません。季節や時勢によって、常に変化し続けるため、過去データや直近の傾向から需要予測を立てることが大切です。とは言っても、予測は容易なものではないため、売上が伸び悩んでいる場合は、需要予測ツールの導入も視野に入れてもいいかもしれません。

ロケーション管理の最適化

在庫の配置を決めておくロケーション管理も重要になります。
配置をあらかじめ決めておくことで、正確な在庫管理につながり、適切な発注を行うことができます。

具体的な方法については、以下の記事をご覧ください。

発注点には見直しが必要

需給予測の項目で述べたように、市場の需要は時勢によって変化していきます。発注点を利用する定量発注方式では、市場変化に弱いため、ある時期になったら発注点を見直す必要が出てきます。

その時期とは「発注頻度が変わったとき」です。一定期間発注を行っているとこの商品の出荷数が増えてきた、この商品は出荷数が停滞してきたなどの変化を感じられると思います。この傾向を参考に、一定期間ごとに発注点の見直しを行うことをルール化することで適切な発注を継続していくことが可能になります。

まとめ

ここまで、「在庫管理・発注の基本」と「大切なポイント」についてまとめてきました。
取り扱う商品や会社の規模によって、発注点・発注量は異なってきます。販売管理システムを導入することで、在庫管理・発注が適切に行えるようになるので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、在庫管理についてもっと知りたいという方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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