販売管理業務を効率化してくれる販売管理システム。とても便利なシステムですが、業界特有のルールや機能に対応していないものを導入してしまうと、後々の運用が煩雑になってしまいます。そうならないためにも、この記事では販売管理システムの概要、食品卸売業様向け販売管理システムの選定ポイントについてご紹介します。
販売管理システムとは？
販売管理システムとは、受注から納品にかけてのお金や物の流れを管理する販売管理業務をはじめ、在庫管理業務や購買管理業務を効率化・自動化するためにシステムです。主に受注・発注・在庫管理や、売上・請求管理など、商品を流通させるために必要なデータを一元管理することが可能です。
食品卸売業では、システム導入により、賞味期限管理やロット管理、在庫状況の把握などの食品管理に関する重要な管理業務を正確かつ効率的に行えるようになります。
食品卸売業に必要な機能
食品卸売業で利用する販売管理システムでは食品特有の要件に対応する必要があります。取り扱う商品によって求められる機能は異なってきますが、ここでは主要な機能について解説します。
１．賞味期限管理
食品を取り扱う上で重要な要素の一つが賞味期限の管理です。各商品の賞味期限を記録・管理し、3分の1ルールや日付順納品の条件を満たす商品のみの出荷を行う必要があります。前述のルールは食品業界特有のものといえるので、これに対応しているシステムでないと管理が煩雑になってしまいます。
食品卸売業特有のルール
3分の1ルール
加工食品において、食品が製造された日から賞味期限までの期間のうち、３分の１の期間内に小売店に納品しなければならないというルールです。賞味期限が9ヶ月の商品であれば、製造日から3ヶ月（最初の1/3）を過ぎると出荷できなくなります。
日付順納品
納品先によっては、同一商品において「前回納品したものよりも古い商品は納品できない」というルールが設けられていることがあります。
２．ロット管理
ロット管理とは、製品をロット番号で識別し、製造から販売までを一元的に管理することです。その製品がいつ、どこで、どのような手続きが行われたのかを記録します。万が一のリコール対応や品質問題が発生した際に迅速に対応できるので、トレーサビリティの観点からも重要な項目の一つと言えます。
３．荷姿管理、単価管理
食品の販売では、商品が様々な単位（バラ、ボール、ケースなど）で出荷されることが多いため、その単位ごとで商品を管理できる必要があります。また、仕入れ価格の変動や販売条件の変動などが多いため、商品に対して複数の値付けが行えることが好ましいとされています。
システム化のメリット
廃棄ロスの低減
システムでの管理により、賞味期限や在庫数をリアルタイムで把握できるため、賞味期限切れによる廃棄ロスを大幅に減少させることが可能です。期限切れが近い商品を優先的に出荷するなど、最適な在庫運用が可能になります。
機会損失の低減
在庫のリアルタイムな状況が把握できるので、適切なタイミングでの発注が可能となります。これにより、商品の在庫切れによる機会損失や過剰在庫を防ぐことができます。また、分析機能があるシステムでは、過去の販売データを活用した需要予測が可能なものもあります。
品質管理とトレーサビリティの強化
ロット管理機能により、各商品の生産ロットや出荷先を追跡することができるため、万が一、商品に問題が生じた際も迅速に対応できます。特に、食品業界では安全性の観点からもトレーサビリティの確保が重要であり、システムによって商品の流れをすべて把握できるようにすることで、消費者や取引先からの信頼性を向上させることができます。
販売管理システム選定プロセスのポイント
システムを導入するにあたりいくつか注意する点もあります。ここでは、自社に合わせたシステム導入を行うポイントについて解説していきます。
１．導入形態
導入形態には、大きく分けてオンプレミス型（自社サーバーで運用）とクラウド型（インターネット経由で利用）があります。クラウド型は初期費用が抑えられ、柔軟にリソースの調整ができますが、セキュリティ面やカスタマイズの柔軟性については慎重に検討する必要があります。一方、オンプレミス型は自社のシステムに合わせてカスタマイズできる反面、初期費用や運用コストが高くなる傾向があります。
２．必要十分な機能性
必要な機能が全て備わっているかを確認することも非常に重要です。特に賞味期限管理やロット管理、単価管理など、食品卸売業特有の管理機能を標準機能として備えたシステムかどうかをしっかりと確認する必要があります。
３．サポート体制
システム提供メーカーのサポート体制についてもよく確認する必要があります。導入支援・操作支援の有無、導入後のサポート時間・範囲・方法について事前に確認できていないと、導入後に業務に支障をきたしてしまったり、追加の費用が掛かってくる可能性があります。
４．導入実績
食品卸売業におけるシステム導入の実績を持つメーカーを選ぶことも重要です。業界特有のニーズを理解しているメーカーであれば、自社にフィットする最適なシステムを提案してくれる可能性が高いです。過去の導入事例や、実際に導入した企業の声を参考にすることで、自社業務に合ったシステムが見つけられると思います。
まとめ
販売管理システムの導入によって、業務効率化やコスト削減など、さまざまなメリットがあることをお伝えできたかと思います。自社に合った販売管理システムを導入することで、食品卸売業の複雑な業務を効率的に管理し、事業の持続的な成長を支える強力な基盤を構築できるでしょう。
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