様々なものを気軽に売り買いする現代では、商品の配送が常に行われています。物流業界では、膨大な物品数を倉庫でどこにどう管理するか、いま商品はどこにあるのか、という問題が常時存在します。扱う商品数が多いとどうしても杜撰になりがちな倉庫管理ですが、近年ではよりスピーディーかつ正確に物品を管理できるようになっています。その要因の一つが「SCMラベル」です。本記事ではこのSCMラベルについて紹介し、効率的な倉庫管理業務をサポートします。ぜひ最後までご覧いただき、知識を増やしていただければと思います。
SCMラベルとは?
物品取引をしていると、SCMラベルという単語を耳にすることはよくあると思います。はじめにSCMラベルとは何なのか、その特徴についてご説明します。
SCMラベル
SCMラベル(Shipping Carton Marking)とは、出荷梱包表示ラベルのことを指します。簡単に言えば、梱包された商品や箱に貼り付けられる、バーコードが印字されたラベルのことです。SCMラベルには、商品の詳細な情報がデータとして多数紐づけられています。
- 商品情報 : 商品名、品番、数量、重量、サイズ、色、賞味期限、製造日、ロット番号 等
- 受取人情報:受取人名、住所、電話番号、メールアドレス 等
- 発送元情報:発送元名、住所、電話番号、メールアドレス 等
- 配送情報 :配送業者名、追跡番号、配送予定日 等
これらの情報をバーコード1つで読み取ることができるため、商品を受け取った側は開封して確認することなく商品情報を知ることができるのです。
PDラベル
似ているもので、PDラベルというものがあります。PDラベル(Physical Distribution Label)とは、オフラインで実際に荷物の仕分けを行う際に目視で使用される識別用のラベルです。PDラベルには、商品の個口数や、何番目の箱であるのか、宛先は何処なのかなど、目で見て保管場所を特定できるような情報が記載されています。Physicalという名の通り、人が実際に商品を運ぶ際や保管場所で商品を識別する際に役立ちます。
SCMラベルとPDラベルの違いは?
何が違うの?と思うかもしれませんが、両者の違いは「オンラインで情報を管理できるか否か」という部分にあります。
PDラベルは、荷物の積み下ろしなどのアナログな作業の際に目視で識別するためのラベルであり、入出庫データをオンライン上で管理することができません。
一方SCMラベルは、事前出荷明細情報(ASN)との紐づけがされており、オンライン上での物流管理ができるラベルです。記載のバーコードを読み取るだけで検品や出荷指示等を行えるため、大幅な業務効率化へとつながります。
ラベルの規格
PDラベル・SCMラベルは流通システム開発センターという財団法人により規格が定められており、以下の3つのサイズがあります。
A1ラベル:縦5.0センチ 横8.5センチ
B1ラベル:縦6.0センチ 横9.2センチ
C1ラベル:縦8.0センチ 横11.5センチ
倉庫管理システムとSCMラベル
SCMラベルは先ほどもご紹介した通り、オンライン上での物流管理を目的としたものです。なので、倉庫の物流全体をSCMラベルと倉庫管理システム(WMS)を組み合わせて使用することで、最大限の効果を発揮します。高度に自動化された現代の倉庫においては、SCMラベルの全ての情報がデータとしてWMSと連携し、在庫の確認、製品の追跡、出荷スケジュールの管理などに活用することができます。最大限の効果を得るためにも、倉庫管理システムとの併用を推奨します。
SCMラベルを利用する際の流れ
次に、SCMラベルを利用する際の流れを見ていきましょう。
- SCMラベルを発行
- 梱包箱に貼付
- 検品システムでスキャン
- 出荷
- 納品
1,SCMラベルを発行
出荷元は検品予定データを元にSCMラベルを発行します。
2,梱包箱に貼付
ラベルが作成されたら印刷し、梱包箱の決められた箇所に貼ります。
3,検品システムでスキャン
配送前にシステムによりスキャンします。これにより梱包箱の情報がデータベースに登録され、
出荷準備が完了します。
4,出荷
商品を送付し、同時に作成した納品データをオンラインで伝送します。
輸送中、スタッフは必要に応じてラベルをスキャンし、現在の状況を追跡します。
6,納品
納入先は梱包箱に貼られたSCMラベルを読み取り、データと照合して、入荷検品を行います。
SCMラベル導入の目的
SCMラベルを導入する目的には、以下のようなものがあります。
倉庫管理業務の効率改善
第一に、倉庫管理業務の効率化というのが一番の目的です。物の多い倉庫では、どの商品がどこにあるのかすぐに把握できず、取り出す際にも時間を要してしまいます。そんな中で1つ1つ箱の中身を検品するには膨大な時間がかかります。しかしSCMラベルを導入することで、バーコードを読み取れば、検品から出荷指示までを機械的に管理できるため、大幅な業務効率改善効果が期待できるのです。
商品の配置場所、数量、詳細情報を一目で把握できるようになり、あの商品の場所をあの人しか知らない!といった属人化も防ぐことができます。誰でも同様のクオリティで機械的に商品の出荷検品を行えるため、倉庫全体の業務効率の大幅な改善が期待できます。
人件費の削減
次に、人件費の削減です。人手による目視確認や手動での商品処理は、物流のコストや時間を大いに浪費する原因となります。SCMラベルを用いれば、商品の正確な情報がすぐに得られ、人間が目視や手作業で確認する必要が無くなるため、複数人で行っていた作業が少人数でスピーディーに行えるようになります。さらに、ラベルの読み取りに自動化技術を導入すれば、作業の効率性向上と共により大きなコスト削減につながります。
正確性の確保
3つ目は正確性の確保です。手作業による倉庫管理には、ヒューマンエラーのリスクが常に存在します。誤った商品や数量の出荷、二重出荷、出荷漏れなどの問題が起こりうる一方で、在庫誤りによる再発注のミスなども考えられます。しかし、SCMラベルがあれば、商品や数量、場所などの情報が正確に記録・表示され、見間違いや誤入力などの小さなミスを防ぎます。さらに、商品の動きを時間ごとに追跡でき、トラブルが発生した場合でも素早く原因を特定し、対応できます。これにより、高水準の正確性と信頼性を保つことができ、顧客満足度の向上にも貢献します。
SCMラベルはどのような場所で利用される?
ではこのSCMラベルはどのようなシチュエーションで利用されているのでしょう。
- 製造業
商品が箱にパッケージングされる際、SCMラベルが貼られます。それにより、製品の内容、起源、目的地などの情報が明示されます。
- 倉庫
SCMラベルは倉庫管理において主要な役割を果たします。商品が倉庫に到着したとき、出荷される前、または在庫として保管されている間、ラベルは商品識別、位置追跡、在庫管理に使用されます。
- 流通業
流通業者はSCMラベルを使って、様々な運送段階での商品の追跡を行います。これにより、効率的なルート計画と遅延の予防・対策が可能になります。
- 小売業
リテーラーは、店舗への配送や店舗内の在庫整理にSCMラベルを使用します。これにより、商品が適切な場所に置かれ、購入の準備が整い、在庫が適切に管理されます。さらに、返品や保証に関連する問題が発生した場合には、SCMラベルに含まれる情報によって商品履歴を確認できます。
- 電子商取引
電子商取引業者もSCMラベルを使用します。特に、分散在庫管理やドロップシッピングなどの形態では、商品が正確な目的地に適切なタイミングで到着するための重要な手段となります。
このように、SCMラベルは製造業から小売業、電子商取引まで、包装の一部として製品の識別、追跡、管理を行うための重要なツールとして利用されています。
SCMラベルを活用する5つのメリット
SCMラベルを活用することには多くのメリットがあります。
- 商品詳細情報の見える化
- スムーズな作業
- 商品の動きを追跡
- スペースの最適化
- 顧客満足度の向上
メリット①商品詳細情報の見える化
SCMラベルは商品情報を明確に示すためのツールです。具体的な商品名、型番、数量など多くの商品にまつわるデータがラベルに含まれています。これにより、梱包や出荷時に関わっていなくとも、誰でも商品の詳細をデータで判別することができます。全体の在庫状況を一目で把握することも可能です。ラベルによって商品が一意に識別可能になるため、混同や誤認識のリスクを大幅に低減できます。
メリット②スムーズな作業
SCMラベルの導入により、商品の受け入れから格納、ピッキング、出荷まで一連の作業をより効率的にスムーズに進めることが可能です。ラベルからスキャンで読み取れる正確な情報により、人手がかかる不要な迷いや確認作業を減らし、作業効率を向上させます。正確な情報を取得し出荷精度を向上することで、検品レスにもつながります。
メリット③商品の動きを追跡
SCMラベルにより、商品がどこにあるのかという詳細な追跡も可能になります。たとえば、いつどの商品が出荷され、または入荷されたか、どの段階で物流が停滞しているかなどが把握できます。これにより、問題や遅延が発生した際の対応が迅速かつ的確になり、作業の改善や効率化に役立ちます。
メリット④スペースの最適化
SCMラベルを使用することで、必要な商品を探す際に素早く見つけることができます。商品探索にかかる時間の削減は、倉庫スペースの有効活用となり、倉庫管理全体の効率を高めます。特定の商品をどのエリアに保管したのか、どのぐらいの空きスペースがあるのかを把握することで、配置の最適化やスペース利用の改善に役立ちます。
メリット⑤顧客満足度の向上
SCMラベルの効果は、結果として顧客へのサービス品質に直結します。ラベルの商品詳細情報による在庫の正確な把握は、過剰在庫や欠品を防ぎ、顧客に対する信頼関係を構築します。また、商品の追跡情報により、出荷状況や予想到着時間などの具体的な情報を顧客に提供でき、顧客体験を向上させます。
SCMラベルを活用してスムーズで正確な倉庫管理を!
いかがでしたでしょうか?膨大な数の商品を常にやり取りする物流において、商品の詳細な情報を即座に取得することや、所在を確認することは非常に重要になります。SCMラベルを活用することで、今まで人が行っていた確認作業を削減し、効率的で精度の高い倉庫管理を実現しましょう。当社でも効率的な倉庫管理への提案を行っていますので、お困りの際はお気軽にお問合せください。
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