倉庫管理システムは、倉庫業務における在庫の正確な管理や、検品・ピッキングの効率化によって業務負担を軽減してくれる強い味方です。
ですが、自社に合わない形態や機能の物を導入してしまうと、かえって業務が煩雑になってしまったり、費用対効果がマイナスになってしまったりします。
この記事では主に倉庫管理システムを導入するにあたって、オンプレミスとクラウドの違いを軸に、倉庫管理システム選定時のポイントについて解説していきます。
倉庫管理業務やシステムについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
オンプレミスとは?
オンプレミスは、企業が自社内(オフィスやサーバルームなど)にサーバーを設置し、システムを運用する形態を指します。オンプレミスには以下のメリット、デメリットが存在します。
オンプレミスの主なメリット
- カスタマイズの自由度
オンプレミスのシステムは、自社でフルコントロールしているため、ビジネスニーズに合わせたカスタマイズが容易に行えます。事業規模が拡大もしくは縮小した際に、メモリやディスク、CPUの拡張・縮小などを行い、ハード面を自由にカスタマイズできます。 - セキュリティのコントロール
サーバーなどの機器を自社で管理しているため、データ保管やアクセス権限などについて、自社のプライバシー、セキュリティ方針に沿って細かく設定し、運用することができます。
オンプレミスの主なデメリット
- 初期コスト
サーバーや関連機器、ライセンスの購入、システムの設計・構築にはかなりの初期投資が必要となります。 - 運用コスト
サーバーやシステムのアップデート、トラブル対応など、継続的な運用・メンテナンスが企業側で求められることが多いため、管理やメンテナンスに人手が割かれたり、機材交換が必要になったりと運用コストが継続的に発生します。 - 拡張の難しさ
事業規模の拡大に応じてシステムを拡張する際、物理的なリソースの追加や設定変更が必要となるため、クラウドに比べて柔軟性に欠けてしまいます。
クラウドとは?
クラウドとは、プロバイダーが提供している外部サーバーを経由してシステムにアクセスする形態を指します。オンプレミスには以下のメリット、デメリットが存在します。
クラウドの主なメリット
- 低コストで導入可能
初期投資を大幅に抑えてサービスを開始することができます。基本的な料金体系としては、月額基本料金+ライセンス料金(+オプション料金)という形が多いです。 - 管理コストの削減
サーバーなどの機材はサービス提供会社が管理するため、そこに工数を割く必要がなくなります。また、常に最新のバージョンでシステムを利用できるという点も大きなメリットといえます。 - 柔軟な拡張性
事業規模の拡大・縮小に応じて、リソースを柔軟に変更することが可能です。
クラウドの主なデメリット
- セキュリティの懸念
企業データが外部のデータセンターに保存されるため、データのセキュリティやプライバシーに対する懸念が生じることがあります。データの通信・保存方法が適切であるかを確認することが重要です。 - カスタマイズの制限
多くのクラウドサービスは、一般的な業務ニーズを満たすように設計されているため、独自業務に合わせたカスタマイズが難しいことがあります。業界特有の機能などはオプションとして提供されることもありますが、費用が割高になってしまうこともあります。
企業のニーズに応じた選択ポイント
オンプレミスとクラウド、どちらのシステムにするべきかの決断はなかなか難しいものがあります。以下では、選択する際のポイントを項目ごとに分けて見ていきます。
事業規模
- 小規模
システムの導入や運用に関する人手や専門知識が限られている場合、クラウドは低い初期投資と簡単な運用で始められるため有用です。 - 中~大規模
カスタマイズの要件やデータセキュリティ、スケーラビリティなどが考慮されるため、独自のオンプレミスシステムの構築やカスタマイズが可能なクラウドサービスを検討することが多いです。
予算
- 少額の場合
初期費用が低く、コストを予測しやすいクラウドが選ばれることが多いです。 - 豊富な場合
オンプレミスは高い初期投資が必要ですが、長期的なコストを抑えることが可能です。また、カスタマイズや独自性を追求する場合に適しています。
専門知識・スキルの有無
- 専門知識を持った人材が社内にいる
自社の独自業務に合わせたカスタマイズが可能になるため、オンプレミスの選択肢も視野に入ってくるでしょう。 - 専門知識を持った人材が社内にいない
メンテナンスやアップデートをサービス提供者が行ってくれるクラウドサービスがおすすめです。専門知識を持った社員がいない場合でも運用可能で、企業側の手間を大幅に削減できます。
まとめ
クラウドとオンプレミスの違いをはじめ、倉庫管理システム選定時に考えるべきポイントについても解説してきました。システム導入を検討する際は、「システムを入れれば業務が楽になる」という考えだけ先行させずに、一度自社の状況を振り返り、様々なシステムを比較・検討することが大切です。
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