トレーサビリティとは?|倉庫・物流業務における追跡の仕組みについて解説

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トレーサビリティとは?

トレーサビリティとは、製品の流通過程において、どの段階でどのような処理が行われたのかを追跡・記録する仕組みのことです。この仕組みは、製造・物流業界において重要な役割を担っており、業務効率化や顧客からの信頼性向上に大きく貢献します。トレーサビリティには「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」という2つの種類があります。

1.チェーントレーサビリティ

チェーントレーサビリティとは、製品が原材料から製品に加工され消費者に届くまでの各段階(サプライチェーン全体)を追跡する方法です。製造業者、流通業者、そして小売業者など、サプライチェーンの各段階で情報を付与していくため、問題が発生した際に迅速に原因を特定し、対応することができます。

2.内部トレーサビリティ

内部トレーサビリティとは、倉庫や工場等の各拠点ごとに製品の移動や処理を記録・追跡する方法です。どの時点で、どの作業が行われたのか、どの担当者が関与したのかなどを詳細に記録し、内部プロセスの効率化やトラブル対応の迅速化を図ります。

トレーサビリティの仕組み

トレーサビリティの仕組みは「トレースフォワード」と「トレースバック」という2つから成り立っています。

1.トレースフォワード

トレースフォワードとは、製品が製造または出荷された後、どのような経路を辿って流通していくかを時間経過に沿って追跡することを指します。これにより、あるパーツを使った製品にトラブルが発生しリコール対応が必要となった場合でも、対象製品をピンポイントで特定し迅速に回収することが可能になります。

2.トレースバック

トレースバックとは、特定の製品にどのような原材料が使用され、どこで製造され、どのような工程を経て出荷されたかを遡って追跡することを指します。これにより、製品に問題が発生した際に迅速な原因特定が可能となり、製品品質の向上につながります。

トレーサビリティの3つのメリット

トレーサビリティを導入することには、さまざまなメリットがあります。ここでは3つご紹介します。

1.トラブル発生時の被害を低減

製品にトラブルが発生した際、その原因を迅速に特定し、対象製品や問題箇所をピンポイントで把握することができます。これにより、リコールや不具合製品の回収範囲を最小限に抑えることができ、被害の拡大を防ぐことが可能です。また、トラブル対応にかかる時間やコストも削減できます。

2.余剰在庫の削減

商品・材料の動きを追跡することで、商品の最適な在庫数を把握しやすくなり、余剰在庫や不良在庫を削減することができます。これにより、不要にかかっていたコストの削減が期待できます。

3.顧客からの信頼獲得

顧客の信頼性向上にも大きく貢献します。商品がどのように作られ、どのように管理されてきたかを正確に把握できるため、万が一トラブルが発生しても顧客に対して透明性のある対応が可能です。これにより、顧客からの信頼を得やすくなり、企業ブランドの価値向上にも寄与します。

トレーサビリティ導入における課題

トレーサビリティの導入には多くのメリットがありますが、一方でいくつかの課題も存在します。ここでは、「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」のそれぞれの課題を挙げていきます。

チェーントレーサビリティの課題

チェーントレーサビリティにおける主な課題は、サプライチェーン全体における情報共有網の構築です。サプライチェーンには、製造、流通、小売など複数のサプライヤーが関わっており、それぞれが異なるシステムや管理方法を使用していることが多いです。さらに、サプライヤー間でトレーサビリティに対する認識が異なることもあるため、統一したトレーサビリティを実現することが難しいケースがあります。

内部トレーサビリティの課題

内部トレーサビリティは、自社でのプロセス全体を俯瞰し構築していく必要があるため、トップダウンで行われることが多いです。そのため、現場の実態に即した形となっていなかったり、さらには現場の負担が増大してしまったりといったことも考えられます。そのため、現場の声を取り入れた上でのトレーサビリティの仕組みづくりが必要不可欠ともいえるでしょう。

まとめ

この記事では、トレーサビリティの概要に加え、仕組みやメリット、導入に伴う課題について解説してきました。トレーサビリティは製品の安全性を確保するために欠かせないものであり、製品に問題が生じた際は迅速な対応を可能にしてくれます。また、トレーサビリティの導入は、顧客の信頼を得るためにも有効といえるでしょう。

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