棚卸の目的とは? システム導入で在庫管理をスムーズに!

棚卸の目的とは? システム導入で在庫管理をスムーズに!

企業にとって、在庫管理は非常に難しいものです。商品に関する「在庫のデータ」と「実際のモノ」、つまり「情報」と「現品」をズレなく見える化するとともに、 過剰になることを防止し、不足して機会損失を起こさないよう、絶えず「適正」に保ってゆく必要があります。この適正な在庫管理を実現するためには、正確な「棚卸し」を 実現していくことが非常に重要です。今回は、この「棚卸し」の重要性と、クラウドシステム化のメリットについて解説します。

目次

棚卸しとは

棚卸しとは、期末などの決算日に商品等の在庫の数量を確認して、会計上の期末棚卸資産の金額を把握する作業のことです。 棚卸資産とは、企業が販売する目的で仕入れた商品や製品等が、販売されないままの状態にある資産です。 貸借対照表の資産の部の流動資産に含まれ、 一般的には「在庫」と表現されます。 棚卸資産管理を徹底して行うことで、原価や利益の正確な算出、滞留在庫や不良在庫の把握ができ、企業の経営改善につながります。

棚卸しの目的

棚卸しをなぜ行う必要があるのか、その目的は次の3つです。

棚卸資産である在庫を確定し、売上原価、売上総利益を確定する

自社が保有する資産の総量や内訳を正確に把握することで棚卸資産である在庫を確定し、売上原価、売上総利益を確定するためです。 原則、在庫を仕入れた際にかかる仕入れ費用は、商品として売り上げた分のみを原価として計上することができます。 企業及び店舗は、財務経理の管理業務において、さらには健全な運営のために、売上総利益及び純利益などを正確に計算する必要があります。 損益計算書の売上総利益の計算式は次の通りです。

 売上総利益=売上高ー売上原価

上記式の中の売上原価の内訳は次の通りです。  

 売上原価=期首棚卸高+当期仕入れ高ー期末棚卸高

帳簿上の在庫数と実際の在庫数を正しい数に修正

帳簿上の在庫数と実際の在庫数の際を確認し、正しい数に修正することです。理論在庫数を、実際に数えた在庫数に書き換えて実際を合わせる必要があります。

商品の数量、品質の確認

商品の数量、品質(品質、パッケージ損傷、賞味期限、消費期限など)の確認をすることです。帳簿上で在庫数に数えていても、破損・期限切れで実際には使えないこともあり得るため、棚卸しでの品質チェックは欠かせません。

棚卸しの種類

棚卸しには、実際にモノを数える実地棚卸と、帳簿上で数量をカウントする帳簿棚卸があります。

実地棚卸

棚卸資産の残高を確認するために、実際に現物(実在庫)を点検・計量する方法です。

一斉棚卸

完全に業務を止めて、一斉に商品の棚卸しを行う方法です。完全に業務を止めて棚卸しを行うため、棚卸し中に入出庫がないので精度が高くなります。

循環棚卸

作業は止めずに、順番に棚ごとの棚卸し作業を行う方法です。在庫の場所や種類、日程に分けて順に棚卸を行う方法です。棚卸にあたるスタッフが少人数で行えます。

帳簿棚卸

帳簿を使ったり、ソフトウェアを使ったりして、在庫数(理論在庫)を正確にカウントする方法です。

在庫単価の評価

棚卸し完了後は、実在庫に基づき帳簿の在庫数を修正するとともに、その在庫価格を最終的に何円で計上するかを決める「在庫単価の評価」を行います。 評価方法には次の2種類の方法があります。

低価法

在庫を取得原価と時価を比較して、どちらか「低い方」の金額を期末棚卸資産の評価額とする評価基準です。 取得原価よりも期末の時価が下回っているようなときに、評価損を認識することができる会計方法です。

原価法

在庫として残された棚卸資産の「取得原価」を算定し、その取得原価に基づいて棚卸資産の期末評価を行う方法です。作業が単純で楽に 処理できるというメリットがありますが、評価損を認識できないデメリットがあります。

在庫差異が発生する原因

棚卸しでは、実在庫と理論在庫に差が発生します。 発生原因は、主に以下の4つに分類されます。それぞれの原因には、それぞれに対策を講じる必要があります。

棚卸し作業中のカウントミス

どの商品がどこに保管されているのか明確でなく、いわゆる倉庫内の「整理整頓」が行き届いていない場合、カウントミスが起きます。

入出庫時のカウント漏れ

入庫時、出庫時の記録の漏れが発生した場合、理論在庫にミスが生じます。

ルール未設定による記録漏れ

倉庫内での商品の破損した場合、サンプル品としての出荷される場合などイレギュラーなケースを 正しく記録できていないことで差異が発生します。

お客様商品の取り置き

出荷・売上済み商品が、自社倉庫で保管「取り置き」する場合を扱い方を決める 必要があります。

ソフトウェアの必要性

棚卸のリストとハンディターミナル

Excelなどを使って各種リストを作成し、手作業で棚卸しを行う場合、カウントミスや記録漏れ、ルール未設定によるミスなどが 発生しやすいです。より多くの人と念入りな準備と手間をかけても、正しい棚卸しの実現は非常に困難です。 棚卸しとは、在庫の数量を確認して、原価や利益の正確な算出、滞留在庫や不良在庫を把握するという重要な意義があります。 「棚卸し」を素早く、正確に、効率的に実行するには、正確なデータ管理、在庫管理方法の高度化、システム導入が有効な手段となります。

DXが叫ばれている現在、棚卸作業のミスのない効率的な運用を実現するためには、倉庫管理システムや販売管理(在庫管理)システム導入による DX化が効果的です。さらにハンディーターミナルとバーコードの活用により、倉庫業務の正確性・生産性向上が期待できます。

販売管理システム

受注売上、発注仕入れ、在庫管理、請求管理など販売に関わる業務を一元的に管理するシステムです。 多くのシステムは在庫管理機能を持っており、棚卸しに関する機能も有しています。 仕入れによる商品の入荷と売上による商品の出荷によって、在庫管理機能で理論在庫を把握しており、帳簿棚卸が実現されています。 販売管理システムで管理されている理論在庫数と、実地棚卸による実在庫を照らし合わせ、差異があった場合は、理論在庫数の調整をする 必要があります。 販売に関する情報が一元管理されており、過去の売上・仕入れ等の情報から、売上予測や適正な在庫量、発注量なども把握できます。 倉庫管理システムと連携して、仕入れによる入荷指示や売上による出荷指示、実在庫数を受けての理論在庫数の修正などの情報交換が 可能です。

倉庫管理システム(WMS)

倉庫業務に特化したシステムで、製品の入庫・出庫管理、ロケーション管理、棚卸し、ピっキング、梱包、発送などを管理します。商品のバーコードを、 ハンディーターミナルで読み込み正確・確実な入荷、ピッキング、出荷、棚卸し作業をサポートします。倉庫内の製品はロケーション管理で置き場所が 管理され、出荷やピッキング、棚卸しの運用に効果を発揮します。 販売管理システムとの連携により、理論在庫の管理、ハンディーターミナルを使用した実地棚卸の正確な在庫数確認が可能です。

クラウドシステムによる初期費用の低減

販売管理システム、倉庫管理システムともに、クラウド型で提供されるシステムが増えています。システム利用料はサブスクリプション化しているものが多く 月額使用料が中心となります。カスタマイズ要望の規模により初期費用は変わりますが、今までのオンプレミス型のシステムと比較して初期投資額が抑えられ 導入する金銭的なハードルは低くなっており、導入メリットが早期に出やすくなっています。

棚卸しは、企業にとって、単なる商品の数量を数えるというだけでなく、原価や利益の正確な算出、滞留在庫や不良在庫の把握により、経営改善にもつながる重要な 活動です。 販売管理(在庫管理)システムで、帳簿棚卸が実現され理論在庫数が正確に把握すること。実地棚卸をカウントミスなく、短期間に効率よく行うために、バーコードと ハンディーターミナルを使用した倉庫管理システムでの運用の実現を強くお薦めします。

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